「あなたの想像の旅へ」ヒロ・ヤタベ インタビュー

「あなたの想像の旅へ」ヒロ・ヤタベ インタビュー

2021-06-08 作家インタビュー

ヒロ・ヤタベ/ 画家

鮮やかな色彩で観る人のインスピレーションを刺激する、抽象画家のヒロ・ヤタベさん。
現在の作風までの経緯や、日々の制作、SNS活動について詳しくお話を伺いました。


ヒロ・ヤタベ

ヒロ・ヤタベ  

1965年 埼玉県羽生市生まれ 早稲田大学卒業(地理学)
大手旅行会社に15年間勤務、営業2分野で社内トップクラスの実績を残す。
その後ベンチャー3社(広告・IT・医療関連)で様々な経験を積む
2012年 創作活動をスタート
2015年よりアーティスト活動に専念

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Q. 作家、画家を志したきっかけを教えてください

まだ会社員だったある日、当時構想を練っていた小説の創作に役立てるため、頭に浮かんでくるイメージを5×5cmの付箋にボールペン・カラーペンでスケッチすることを思い立ちました。半年で500枚ほど溜まりましたが、その後創作自体が行き詰まり、他の資料と一緒に仕舞い込み存在を忘れてしまいました。


スケッチ
5×5cmの付箋に描いたスケッチ

数年後、部屋を整理している際にそれを見つけ、新しいものも描き加えて、絵本型のノートに張りつけてみました。面白い感じにまとまったので知人に見せたところ、もっと大きく描いて絵画として発表したらどうかと勧められました。そこで夏から毎日寝る前の時間を利用して、主にパステルを使って描き、出来上がったらすぐSNSへ投稿をすることを始めました。それが絵であることを意識しての創作のきっかけです。

参照:第24回 インターナショナル・オルガン・フェスティバル・イン・ジャパン2014 大阪公演

1年も経たないうちに国立新美術館・東京都美術館での公募展へ初出品。さらに翌年、外務省・文化庁・ハンガリー大使館後援のイベントで世界最高峰のオルガニストの演奏とライブペインティングで共演。それを機に抽象画家を名乗るようになりました。


「自分が描いたものを喜んでくれる人がいる」

無理なく描き続けられること、自ら発信することが苦にならないこと、活動の蓄積が評価に繋がること、そして何よりも自分が描いたものを喜んでくれる人がいること、そのようなことから、50歳でアーティスト活動に専念することを決意しました。


Q. 現在の作風までの歴史、経緯などありましたら教えてください。

知人の勧めで始めた頃はカラーインクやパステルがメインで、物語のシーンのようなものを描いていました。初めての公募展ではそのような中から選んだものを出品。


作品画像
パステル作品「Endless Road」(公募展に初出品)

サイズに関して比較的自由な団体で、F10号以下の作品も決して珍しくはありませんでしたが、そこは国立新美術館の大空間。油絵に囲まれるとだいぶ見劣りしている感じは否めず、恥ずかしい気持ちが残りました。

そこで翌年の展示に向けて、油彩に近い質感と扱いやすさを兼ね備えた画材としてアクリル絵具を選び、それをメインに制作するようになりました。筆やペインティングナイフの使い方を色々試す中で、自然と風景画のような作品が生まれました。


作品画像
「 Holy Land 」

Q.ヒロ・ヤタベさんは抽象画を描かれていますが、モチーフやテーマなどはありますか?

以前は描く中で結果として心象風景のようなものになっていましたが、最新のスタイルは一般的な絵画のイメージを離れて、むしろ地図やデザインに近いものになっています。

意図的にレイヤー構造をつくったスタイルです。具体的には、市販のキャンバスの白をそのまま生かし、余白を残しながらアクリル絵具やアクリルガッシュを塗り、さらにその上にアクリル絵具を絞り出して盛り上がった線を描いています。輪郭線的なもの、少しずらした線、まったく関連性のない線を共存させています。絵具は混色はせず鮮やかな色のまま使います。 あくまでも意図的なのは構造であって、描画自体はオートマティックなものです。



Q. 現在の作風になったきっかけなどありましたらお聞かせください。

このスタイルのきっかけは、現代アートの関係者と積極的に交流する中で、作品には際立った個性が必要不可欠であることを痛感したからです。

自分ならではのものは何かを自問自答した結果、幼少期に画用紙に描いていた「空想地図」をキャンバスと絵具を使い再現することにしました。



Q. ヒロ・ヤタベさんの描く作品はカラフルでどの作品もエネルギッシュな印象を受けました。作品の制作にあたり意識していること、また大切にしていること、伝えたいことなどはありますでしょうか?

「あなたの想像の旅へ」

アーティスト活動に専念することを決意した際、「あなたの想像力が完成させるアート」(The art your imagination completes)をモットーとしました。昨年からはさらに踏み込んで「あなたの想像の旅へ」(Journey to Your Imagination)を掲げ、発信しています。

私の作品は「絵画」というよりは、むしろ「想像の旅」として楽しんでいただきたいと思っています。今後も即興から生まれる色や形、スピード感・ライブ感を大切にして、観る方が自由な解釈で想像の世界に遊ぶことができるような作品づくりを進めていきたいと思います。


ヒロ・ヤタベ

Q. 作品のインスピレーションはいつ、どのようなときに浮かびますか?

制作のはじめに無作為に色を塗ったり、線を引くことで、それが刺激となり、インスピレーションが湧き出す感じです。自然と手が動き出し、あまり意識しない中で作品が生まれます。


Q. 作品制作をする上で、ルーティンや制作ペースなどについてはいかがでしょうか?また普段どのような場所で制作活動をされていますか?

「 常にフレッシュな気持ちで 」

ルーティンとはちょっと違うのかもしれませんが、常にフレッシュな気持ちで臨めるよう出来るだけ直前の作品と違う画材・色を選び、描き方・サイズ等を変えるようにしています。


作品制作過程

キャンバスにアクリルで盛り上がった表現をしたら、次はハガキ大の紙にインクでドローイングをするなどです。当初は時間を決めて毎日描くことを自分に課していましたが、現在は展示発表・販売とのバランスも考えながら制作しています。

現在専用のアトリエはないので、リビングのテーブルにシートを敷き、そこに画材を広げて制作しています。イーゼルやパレットは使わず、絵具のチューブやフェルトペンをランダムに並べ、その時々の感覚で選び即興的に描いています。


作品制作過程

Q. 制作中のリフレッシュ方法などがありましたらお聞かせください。

私の場合、制作は途切れることなくオートマティックに進みます。描き終わるまで手を止めません、というより止まらないと言ったほうが正しいかもしれません。出来上がった直後には、なぜか無性に活字を読みたくなります。あまり考えないで、ジャンルも適当に本棚から本を数冊引っ張り出してのパラパラ読みが楽しみとなっています。それがリフレッシュになり、次の創作に繋がります。


作品画像アップ
「 Landscape and Memory TB-1 」

Q. 今後、作家として挑戦したいことはありますか?

現在、気軽に選んで身近に飾れるサイズ・価格の作品を『ライフスタイルアート』と名づけ、その創作発表を自身のアーティスト活動の中心に据えています。

1部屋に1枚、気分やシーズンによって飾り替えられるイメージです。その浸透のためリアルの活動としては、『ヒロ・ヤタベ アートコーナー』の名称で店舗のオープンスペースをお借りして作品の常設展示販売を行なっています。現在パートナー店舗は都内9カ所ですが、将来的にはエリアを広げた上で100カ所を目標としています。


社会人経験も積み、アーティスト歴も10年程になります。自分自身の世界だけに閉じこもらず、広い視野で考え、生活のシーンに密着したアートの普及に少しでも貢献できるような存在になりたいと思います。


Q. SNSでの活動について、気をつけている事、実践している事、反響などはいかがでしょうか?

現在Facebook、Twitter、Instagramを利用していますが、いずれも作品画像を投稿する際は意識して、その作品について自分自身の思いや考えは語らず、販売のための紹介を除いてはタイトルも伏せて先入観のない状態で見てもらえるよう気をつけています。それもあってか投稿に「私にはこう見えます」、「タイトルは○○です」といったコメント・解釈がつくことがあります。

【twitter】【Instagram】 【Facebook】


時にはそれに対するやりとりがきっかけになって購入に至ることもあります。実践していることは、毎日欠かさずそれぞれのSNSで投稿をすることです。続けることが大事なので、それ以上細かいルールはつくらないようにしています。反響としては、まったく知らない方が作品展の開催投稿を見て来場、即座に購入ということも以前ほど稀なことではなくなってきました。


今後の展示情報


作品展示
Art Mall 個展風景

毎年恒例になった日本橋のアートモールでの個展(4年連続の企画展)の日程が次回は2022年2月15日(火)から20日(日)に決定しました。

スケジュールの合う方はぜひお越しいただきたいと思います。

INTERVIEW

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