【美術史】抽象表現主義~コンセプチュアル・アート 2022月03月29日 アートの知識

美術ヒストリー


抽象表現主義

戦後の1940年代後半からの美術は「現代アート」に分類されます。ジャクソン・ポロック、ウィレム・デ・クーニング、ロスコなどのアーティストがニューヨークのアートシーンに登場します。キャンパスを描く画面ではなく「場所(フィールド)」に変え、抽象的な色彩を叩きつけたようなアクション・ペインティングと呼ばれる作品が登場します。その他にもバーネット・ニューマンが目指したカラーフィールド・ペインティングという単純な色彩を配置した均質な表現によって、中心がなくどこまでも色彩が永遠に続くように感じる「オールオーバー」という概念に基づいた作品が登場し、こうしてアートの中心地はパリからニューヨークへと移行して現在に至ります。

ポップアート

ポップアートを語る上で1964年にアッパー・イーストサイド・ギャラリーで開催された展示「The American Supermarket」は欠かせない重要な出来事です。6人のアーティストが出品し、なかでもウォーホルは絵画のキャンベルスープ缶の作品と市販のキャンベルスープ缶にサインした作品を販売し、ここにポップアートと芸術とは何かを問いかける最初のアートイベントが生まれたのです。その後もウォーホルは有名人をモチーフに反復したシルクスクリーン作品を次々と発表していきます。繰り返すことでどんな人物も「大衆化」させることに成功しました。とはいえ存在が軽くなったからといって作品が軽くなるわけではなく、むしろ作品の強度が増すのも興味深い作用でしょう。反復・大量生産・大量消費という現代社会を反映した新たなアートの文脈がここに誕生したのです。

新即物主義

第一次世界大戦後に登場したドイツの芸術運動を指し、極めて冷静な視線で社会を俯瞰的に観察し、即物的(客観的)に表現しようとした試みです。これは表現主義全盛の時代における反発によって生まれました。例えば資本主義社会のなかで堕落する人々や荒廃する社会についての風刺や、肖像画においても脚色することなく、対象に媚びずに描くことを徹底した画家も存在しました。あくまでも即物的であるこの芸術は、やがてナチスの台頭とともに危険思想を伴う芸術として迫害されていく歴史を辿ることとなります。

コンピュータアート

主にメディアアートやデジタルアートの制作過程においてコンピュータを用いた作品を指す言葉です。プログラムを作ることやアルゴリズムを設計することは「美」を作ることと考えられ、技術の発展とともに芸術と科学が混じり合うようになります。そのため、コンピュータを用いた領域は年々と広がりを見せており、今日に至ってはどこからどこまでか「コンピュータアート」なのか定義することが難しくなっていますが、常に最新技術がアップデートされた表現に触れられるのがこの分野の特徴です。

コンセプチュアル・アート

1960年代から70年代にかけて、アートの価値において「コンセプト」が最も重要であると定義される時代が始まりました。アイデア芸術とも呼ばれ、作品を創らなくても構造や考えそのものも「芸術」とした扱われるようになりました。完全に手仕事や画家本人が描かなくても成立する「アート」の時代の到来によって、アーティストがスタッフを雇ってアート作品を製作するアートカンパニーが誕生していくのもこの頃からです。21世紀の現在も変わらぬ現代アートの考え方はこの当時に形成されていきます。ヨーゼフ・ボイス、マルセル・ブロータスなどがこの分野における先駆的なアーティストといえます。

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