コラージュ技法とは?多様な素材を使ったアートの作り方

アートを学ぶ

2025年01月10日

コラージュとは、異なる素材を組み合わせて作品を作るアート技法です。紙や布、写真、新聞の切り抜きなどを貼り合わせることで、新しい表現が生まれます。本記事では、コラージュを中心に、ミクストメディア、アッサンブラージュ、切り絵、貼り絵、ちぎり絵、モンタージュ、フォトモンタージュなど、多彩な技法を紹介します。それぞれの特徴や違いをわかりやすく解説し、初心者から経験者まで楽しめるアートの魅力をお伝えします。

コラージュとは

コラージュ(Collage)は、フランス語で「糊付け」を意味する言葉で、紙や写真、布などの素材を切り取って貼り合わせ、一つの作品を作るアート技法です。異なる要素が融合し、意外性のある視覚効果や新たな意味が生まれます。

コラージュ技法がアートの分野で確立されたのは、20世紀初頭のキュビスム運動の中でした。絵画における最初のコラージュ作品は、パブロ・ピカソとジョルジュ・ブラックがキュビスムを模索していた時期に生まれた「パピエ・コレ」とされています。彼らは新聞紙や広告の包装紙などを貼り合わせ、新しい表現方法を追求しました。この革新的な手法は、現代のコラージュアートにも影響を与え続けています。

《Shadowplay "2"》2022年 岡本 竜也

Shadowplay “2”》2022年 岡本 竜也
技法:紙

ミクストメディアとは

ミクストメディア(Mixed Media)は、異なる素材や技法を組み合わせて制作するアート手法です。絵画や彫刻、写真など、複数の異なる表現技法を融合させた作品を指し、素材の特性を活かすことで新たな視覚効果や質感が生まれます。

ポップアートの代表的なアーティストであるリキテンシュタインが1990年に制作した《反射》シリーズは、ミクストメディアの代表的な作品のひとつです。このシリーズでは、絵画にプラスチックフィルムや金属ホイルを組み合わせ、独自の視覚効果を生み出しています。このように、ミクストメディアは多様な表現の可能性を広げ、アートに新たな魅力を加えています。

ミクストメディアとコラージュの違い

●使用素材
ミクストメディア
紙、布、金属、木材、プラスチック、絵の具、インクなど、多様な素材を組み合わせて作品を制作します。立体的な素材も含まれるため、作品に質感や奥行きが生まれます。

コラージュ
主に紙や写真、布などの平面的な素材を使用し、貼り合わせることで作品を構成します。素材を重ねることで奥行きを演出することはありますが、基本的には2Dの表現が中心です。

●技法
ミクストメディア
ミクストメディアでは、絵画、彫刻、写真、印刷技法など、異なる技法を組み合わせ、多様な表現を可能にします。例えば、絵の具で描いた部分に写真をコラージュし、さらに彫刻的な立体要素を加えることもあります。

コラージュ
コラージュは、素材を切り取り、貼り合わせることで作品を作る手法です。絵の具やインクを使うこともありますが、基本的には「貼ること」に重点が置かれます。

《Hope in the midst of chaos》2021年 YADALab

Hope in the midst of chaos》2021年 YADALab
技法:弦、アクリル

アッサンブラージュとは

アッサンブラージュ(Assemblage)とは、さまざまな素材を組み合わせて一つの作品を作る技法です。また、アッサンブラージュ作品そのものを指すこともあります。コラージュが主に平面的な要素を組み合わせるのに対し、アッサンブラージュは立体的なオブジェやオブジェクトを組み合わせるのが特徴です。

20世紀のアメリカを代表するアーティストであるジョゼフ・コーネルは、この技法を用いて数多くの幻想的な箱作品を制作しました。彼の作品は、シュルレアリスムやダダの影響を受け、古い写真やオブジェ、紙片を組み合わせた詩的な世界観を特徴としています。

コラージュやミクストメディアとの違い

アッサンブラージュは、異なる素材を組み合わせる点ではコラージュと共通していますが、立体的なオブジェクトを用いることで、より彫刻的な要素が強調される点が特徴です。コラージュが主に平面上での構成に重点を置くのに対し、アッサンブラージュは箱や木片、金属、ガラスなどの立体物を組み合わせ、新たな造形を生み出します。

また、ミクストメディアは平面・立体を問わず、異なる技法を組み合わせる幅広い表現手法ですが、アッサンブラージュは立体作品に特化している点で異なります。そのため、アッサンブラージュは「立体的なコラージュ」とも表現されることがあります。

アッサンブラージュ

切り絵とは

切り絵(きりえ)は、紙を切り抜いて絵やデザインを作る、日本に古くから伝わる技法のひとつです。デザインを直接紙に描いたり、下絵を用意したりして、それに沿ってナイフやハサミで紙を切り抜き、繊細で美しい模様や形を作り上げるのが特徴です。

切り絵とコラージュの違い

●使用素材
切り絵
紙を切り抜くために、カッターやはさみを使用します。基本的に、切り抜いた紙そのものが作品の構成要素となります。

コラージュ
紙や写真、布などの平面的な素材を切り取り、糊や接着剤で貼り合わせて作品を作ります。異なる素材を組み合わせる点が特徴です。

特徴
切り絵
紙を切り抜いて特定の形やデザインを作成します。

コラージュ
異なる素材を切り取り、貼り付けて一つの作品にします。

切り絵

貼り絵/ちぎり絵 とは

貼り絵やちぎり絵は、紙を切ったりちぎったりして貼り合わせ、作品を作る技法です。紙の色や質感を活かし、絵の具を使わずに視覚的な表現を行うのが特徴です。

貼り絵/ちぎり絵とコラージュの違い

貼り絵やちぎり絵は、紙や写真を切り取り、貼り付けて視覚的な構成を作る技法です。主に紙の色や質感を活かしてデザインを作り、統一感のある表現が特徴です。

一方、コラージュは、異なる素材や絵柄を組み合わせ、意外性のある表現や新たな意味を生み出すことを目的とした技法です。貼り絵やちぎり絵が比較的一貫した構成を作るのに対し、コラージュは異質な要素を組み合わせることで、より独創的で複雑な作品を生み出します。

貼り絵/ちぎり絵

モンタージュとは

モンタージュ(Montage)は、映画や写真、アート作品において、複数の映像や写真を組み合わせ、新たな意味やストーリーを生み出す技法です。特に映画編集では、時間の経過や出来事の連鎖を視覚的に示すために用いられ、重要な役割を果たします

また、フォトモンタージュは、複数の写真やその一部を組み合わせ、新しい画像やアート作品を作成する技法です。現実にはない光景や、想像力を駆使した独創的なビジュアルを作り出すことができ、広告やシュルレアリスムのアート作品などでも広く用いられています。

フォトモンタージュとコラージュの違い

フォトモンタージュは主に写真や画像を用いて、異なる要素を重ね合わせて新しいビジュアルやストーリーを作り出すことを目的とし、コラージュは多様な素材(紙、写真、布、自然素材など)を切り取り、貼り付けて新たな意味や視覚効果を生み出すことを目的とします。

モンタージュ

アートは誰でも楽しめる

今回紹介したこれらの技法は、経験を問わず、誰もが自分らしさを表現することができます。やってみたいけれど何を用意すればよいかわからない、本格的に学びたいかたは、アート専門の教室やワークショップを探してみてはいかがでしょうか?イニシャルギャラリーではアート専門のおすすめワークショップ情報を掲載しています。ぜひ体験したいアートを探してみてください。

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