【美術技法】アクリル画、テンペラ、フレスコ、パステル(クレヨン画) 2022月04月11日 アートの知識

技法レポート


アクリル画

 

 アクリルは様々な画材の中でもとても扱いやすく、耐久性に優れていることも大きな特徴です。また万能とも言えるほど使い勝手も良く、水彩のようにも油絵のようにも使えるため、様々な技法が生まれています。例えば水彩画でもよく使われる「ウェット・イン・ウェット」という技法のように水を含んだ紙と絵具によって独特な滲みの効果が生まれます。それとは対照的な「インパスト」技法は油絵のように盛り上げて描く技法のことで、モネやゴッホのように力強い色彩も実現可能なのです。またアクリルと油絵、アクリルと水彩など、異なる絵具の組み合わせによる「ミクストメディア」という技法もアクリルならではの特徴です。アクリル画がいかに幅広く便利な存在であるのかが分かるかと思います。

テンペラ

テンペラは油絵が生まれる前の西洋画において、最もメジャーな存在でした。時期としては5世紀〜16世紀にかけて、主に宗教画を描く際に重宝されたのです。テンペラの画家で最も有名な画家の一人がサンドロ・ボッティチェリです。代表作の「ヴィーナスの誕生」など多くの名画をテンペラによって残しています。ではこのテンペラ絵具はどのように作るかというと、最もポピュラーな組み合わせが顔料と卵の組み合わせです。場合によってはここに水や油を混ぜて調整することもあります。発色が良く経年変色が極めて少ないテンペラなくして、数多くの宗教画が生み出されることはなく、今日も美しい状態で中世の祭壇画を見ることが出来るのです。

フレスコ

フレスコ画は13世紀末のイタリア・トスカーナ地方で誕生しましたが、テンペラと同じく油絵の到来と共に衰退していきます。フレスコは主に壁画用に使用されました。これは壁の中の炭酸カルシウムの性質を意図的に利用して顔料を定着させています。また、水に強く湿気などにも耐性が強いのも特徴です。フレスコで描かれた最も古い作品が「ラスコーの壁画」です。約1万5千年前に描かれたラスコーの壁画が現在までハッキリと残っているのは、フレスコの優れた保存性によるものです。フレスコで描かれた最も有名な作品は、ミケランジェロの「システィーナ礼拝堂天井画」でしょう。フレスコもテンペラと同じく宗教画を支えてきた素材なのです。

パステル(クレヨン画)

パステルクレヨンは粉末の顔料と結合材によって組み合わされて作られています。他の画材と異なり、パステルは混ぜ合わせることには向いていませんが、ルネサンス以降、多くの画家に愛用されてきました。パステルならではの柔らかな風合いは、他の画材にはない味わいがあることが主な理由でしょう。パステルにも硬質パステルからソフトパステル、オイルパステルなど様々な種類があります。アートの世界における「パステル」がどこからどこまでの領域に及ぶのか、その議論は現在も続いているのが現状です。販売メーカーによっても様々な個性があるので、ぜひ様々なパステルに触れてみるのも面白いのではないでしょうか。

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