「想像力を掻き立てられる絵を描きたい」相川恵子インタビュー
2020-02-04相川恵子 / 画家
人物画を通して、人間の複雑な感情を表現する作家、相川恵子さん。
今回は絵画作家として新潟県で活動している相川恵子さんに自身の作品制作、人物像について語ってもらいました。
絵の表情を読み取られないようにしたら今の画風に
作品:「ロンリーロンリー」
相川 恵子
1989年新潟県生まれ
長岡造形大学視覚デザイン学科ビジュアルアートコース卒
古新聞などを用いたコラージュや、油彩で人物を描く。
スケッチブックに一日一枚その日感じたことや色を描き上げる。
コラージュや人物画を通して人間の複雑な感情を表現している。
2014年初個展、その他グループ展などに多数出展。
受賞/Awards
第23回黒潮マンガ大賞 佳作
第5回VISUAL ART AWARD 入選
第66回新潟県美術展覧会 入選
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Q. イニシャルギャラリーに掲載されている、2点の作品についてコンセプトがありましたらお聞かせください。
テイストを変えた最初の作品がこの「ロンリーロンリー」なので、思い出深い作品となっています。
最初にイメージや構図を決めて描くというよりは描きながら決めていくので、描いては消して、描いては消してを繰り返しながらグッと来るところで止めるよう作業していますね。
下絵を描いてしまうとそこで満足してしまうので、描きながら考えるようにしています。
描きながら急にひらめくアイディアがあるからワクワクして楽しいんですよね。
過去作品では顔を描いていましたが、当時から顔を描きたくないという思いはありました。
顔を描かなくていい方法がわからず、ぼかして描いていました。
Q. 顔を描きたくない理由というのは?
表情があれば当然見ますよね?
目があったら目を追うし、読み取りやすいんですけど。
見た人の想像力を掻き立てられるような絵を描きたいと思って、このような表現になりました。
絵を描いて活動していることを発表したい
Q. 幼い頃の絵画にまつわるエピソードや好きだったことはありますか?
幼いころから絵を描くのは好きでした。
保育園の先生に褒められたことがうれしかったのを覚えています。
その時に描いたのが、なんでもない女の子でした。
あと、漫画にも大きく影響を受けました。
小・中学生の時は少女漫画ばかり読んでいましたね。
その少女漫画をひたすらトレーシングペーパーで模写していました。
当時はそれで自分の技量が上がると思っていました。
同じ絵が描けたという達成感が楽しく一人でずっとやっていました。
Q. 本格的に絵画の道に進むことになったのは?
大学がデザイン学科の絵画コースだったので、そこから絵画の道へ入っていきました。
絵画専攻の授業に入る前は、パソコンでデザインをする授業を受けていましたが、自分に合わなくて辛かった記憶があります。
大学3年生になって絵画が専攻できるようになり、そこから学び始めました。
デザインはお客様がいて要望に沿って作っていきますが、絵画・アートはなんでもできる自由さがあるので私に合っていると思いました。
Q. 大学を卒業してからの活動はどんなことをしていましたか?
大学卒業後は、大学時代から絵画を描き続けているメンバーと展示会をしたりしていました。
在学中も大学内のギャラリースペースで、有志のメンバーと展示をしていましたが、やはり自分たちで外のギャラリーを借りて企画・展示するのとは違いましたね。
Q. 個展については
新潟で初めて個展をしましたが、初めは怖かったですね。
当時はインスタグラムも普及してなく、Twitterも得意ではなかったので告知がうまくいかなかったです。
売ることを目的と思っていなくて、「私は絵を描いて活動しています!」ということを発表したい気持ちでした。
絵は描き続けるので、良い絵ができると発表したくなっちゃいますね笑
Q. 制作ペースはコントロールしながら進めているのでしょうか?
制作ペースは全く考えてなかったですね。
仕事もあるので、合間を見て制作を進めています。
1枚あたりの制作期間は、うまくいくと2~3日で完成します。
乗る時は描けますが、乗らないときは全く描けないですね。
あまり手を加えない段階で制作が終わると、上手くいったなという感覚があります。
Q. 展示の制作に追われることはありますか?
やっぱりありますね笑
新聞や雑誌に「新作20点展示」とあって、ギャラリーに展示数をきかれると、「20点展示します!」と言ってしまうので、追われてしまうことはありますね。
常に描いているので、基本的にはそれに合わせて描いた作品を当てています。
また、皆さんもそうだと思いますが、1回展示した場所に同じ作品を展示しないようにしています。
同じ作品を展示するのはもったいないと思っちゃいます。同じものを展示するなら新作を展示した方が得だと思いますね笑
Q. 制作に疲れた時のリフレッシュは何かしていますか?
音楽が好きなので、バンドをやっていました。
歌を歌うのが好きで、ギターとベースを弾くのも好きですね。
アトリエで歌いながらギターを弾いたりしています。
制作中もずっと音楽をかけながら進めています。
もっと身近にアートを感じられるようになったら良いですね
Q. 今後、首都圏での展示や海外での展示など取り組みたいことはありますか?
東京ではグループ展の参加のみで、個展をしたことはないので、やりたいと思っています。
海外での活動は、アートフェアとか機会があれば出展してみたいと思っています。
インスタグラムで海外のユーザーから「いいね」を貰うこともありますので、海外での活動にも興味があります。
Q. SNSでの発信もされていますが、反響はありますか?
SNSでの発信はあまり得意ではありませんが、ファンを作っていく上では投稿をした方がいいと思っています。
周りの作家さんでも作家活動でSNSをしっかり使っている印象の方は少ないですね。
インスタグラムを通じてお仕事の依頼が来ることもありましたので、これからも続けていきます。
Q. 今の日本の美術環境についてどう思いますか?
作家じゃない方の目線が気になりますね。
絵は好きだけど、ギャラリーへ行ったことのない方がたくさんいると思います。
入りにくい雰囲気はまだあるので、もっと自然な感じで足を運んでもらえるようになるといいですね。
過去にVUCAというギャラリーカフェに展示していましたが、そこではアートを身近に感じるスペースにしたいという雰囲気でやっていました。
アートは崇高なものと思っている方もいますが、そこまで高価ではない作品もあるので、誰でも楽しめる身近なものになってほしいですね。