アート塗り絵コレクション掲載作家 岡本竜也インタビュー

2022-03-16 作家インタビュー

岡本竜也/画家

「アート塗り絵コレクション 〜旅・冒険編〜」に作品掲載の岡本竜也さんに塗り絵作品に込めた想い、制作過程について詳しくお話を伺いました。


「タコのウネウネ宇宙旅行」
「 タコのウネウネ宇宙旅行 」

岡本竜也/画家

1988年大阪府生まれ
2012年 大阪芸術大学附属大阪美術専門学校 絵画専攻 卒業

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Q. 今回のご応募にあたり、塗り絵の制作は過去にご経験ございましたか? また、塗り絵として作品を制作するのに意識された点などありましたか?率直にご感想もお聞かせください。


「タコのウネウネ宇宙旅行」線画

塗り絵として絵を描いたのは初めてでした。

特に意識したのは、これまで自分が描いてきたどのテイストとも変えないといけないということでした。ですがそれが今回応募させていただいたきっかけでして、新たな発見や気づきなどがあればいいなと思ったので挑戦しました。

構成として意識したのは、観る楽しさよりも塗る楽しさを考えたことです。塗り絵は僕一人で完成させるのではなく誰かに塗ってもらって初めて完成するので、そこのワクワク感は感じてもらいたいなと思いながら構成しました。


Q. 「タコのウネウネ宇宙旅行」作品のテーマについて教えてください。


Q1でもありました通り、塗るワクワクを考えた時に近未来的なメカニックな描写が描きたいなとはじめに思いました。

そして元々タコをモチーフに描く活動をしていますのでタコは絶対描きたいのですが、そもそもタコというのはとても不思議な生き物で、現在でもわかっていないことがたくさんある生き物です。その中の一説として、タコは宇宙から来たんじゃないかと言われたりもしています。

そこからタコと宇宙船の組み合わせは決まりましたが、タコをキャラクターにして宇宙船に乗せるというより、タコがタコとして見様見真似で無表情で無言で黙々と宇宙に行く方が個人的にワクワクしたのでこのような絵になりました。

見様見真似なので、袋の中には髭剃りやお泊まり用歯磨きセット、もしかしたらトランプとかも入ってるかもしれません。

――タコと宇宙船という組み合わせがとてもユニークですごく印象に残りました。あのタコの表情は黙々と宇宙に行くタコだったのですね。お話をお伺いすることでさらにストーリーが頭に浮かんできました。


Q. カラフルでかなり細かく着彩していらっしゃいますが、着彩する際のコツやこだわりなど教えてください。


塗り絵なので、いつもの作品の時の配色とは全く違う色を選んで塗りました。あえてコツを言うとすればただワクワクするように塗っていきました。なので、可能であればできるだけたくさんの色を用意して塗ってほしいですね。

色の数だけワクワクできる塗り絵になってると思います。


Q.普段から様々な技法で作品を制作されていますが、今回コピックを選ばれた理由をお聞かせください。


どちらが良いということでもないんですが、色鉛筆でグラデーションをつけたりするよりも僕の今回の塗り絵は塗る面の色をできるだけ同じ色でパキっと塗る方が良いかなと思ったのでコピックで塗りました。


普段の作品でいうと、紙、板、布など何に描くのかや下地の有無、構図などから画材が勝手に決まることもありますが、割と画材発進で絵を組み立てることが多いかもしれません。非常に飽きやすいので、画材や技法をコロコロ変えないと描けないんです。


Q.岡本さんの作品には、度々モチーフにタコを採用していらっしゃいますが、タコをモチーフにしようと思ったきっかけなどありますか?またタコの魅力や描くうえでのポイントなどあれば是非教えてください。


タコをモチーフにしようとしたきっかけは色々な理由があるんですが、一番の理由は僕が表現したいことに一番寄り添ってくれるモチーフだからだと思います。


奇妙で不気味で近寄り難い。でもどこか間抜けで真面目で愛くるしい。

あととても個人的なことなんですが、僕すごく飽きやすいんです。一度自分ができたことをするのが嫌で、同じものを描くのも嫌です。でもタコは飽きないんです。タコを軸にすると描きたいことが浮かんでくるんです。なのでいつかタコの表現を出し尽くす時が来たらたぶん描かなくなると思います。

タコを描く上での個人的なポイントは、実物のタコとして描かないことです。実物のタコに似せて描いてもそれは結局偽物のタコなので。あくまでも僕の絵の中にだけ存在するタコとして描いています。



Q. 日々の生活で、ルーティンやリフレッシュ方法などありましたらお聞かせください。


ルーティンやリフレッシュと言えるのかわかりませんが、洗濯物を干している時間が好きです。
ラジオを聴いたり音楽を聴きながらするんですが、重力のないテトリスをしているような感覚です。干し終わった時に自分の中で何かが整理されてる感じになります。特に何か考え事をしているわけでもないんですが。



Q.ご自身の作家活動において影響を受けた人物や事柄などはありますか?


自分にとって良い人も悪い人も全ての人に影響を受けて自分があると思ってますが、作家として一番大きいと思っていることは同級生に尊敬できる友人が二人いたことです。僕の作家活動は彼ら抜きではなかったと思います。長くなるので割愛しますが。

あと画家でいうとセザンヌ、ゴッホ、デキリコ、クレー、アンリルソー、尾形光琳、加山又造、などとても好きなので影響を受けていると言えると思います。


Q.今後、作家活動で挑戦したいことはありますか?

まだまだ平面作品でやりたいことはありますが、いつかは立体作品も挑戦してみたいです。


Q. 「アート塗り絵コレクション」出版プロジェクトは、イニシャルギャラリーの作家支援プロジェクトの一つになりますが、このような取り組みについてどう思われますか?


「 BONELESS 」
「 BONELESS 」

このような言い方をするのはとてもおこがましいのですが、とても良い取り組みだと思っています。
説明のためにあえて言わせていただくのですが、作家支援の為に展示や雑誌に掲載をしたいと言いつつ、作家に料金を支払ってもらって展示、掲載しようとする方々からたまにお誘いをいただくことがあります。

僕はここにあまり愛を感じないので全てお断りしているんですが、僕の知っている限りイニシャルギャラリーさんは具体的な形で僕達作家を支援し、リスクとコストは負担した上でその回収は自分達でするということをされていると思います。

つまり、作家がお客さんなのではなく、その先にお客さんがいると感じた作家を選んでくれていると感じるので、作家としてもとても嬉しく思います。


今後の予定


展示風景

今の所特に大きな予定はありませんが、変わらず絵を描き続けて発表していきます。画材や技法が変わった時には「あ、この前のはもう飽きたんだな」と思ってくださると助かります。


書籍情報


飾れるアート塗り絵アート塗り絵コレクション〜旅・冒険編〜

2022年3月24日販売
飾れるアート塗り絵
「アート塗り絵コレクション 〜旅・冒険編〜」

作品価格:定価1,650円(本体1,500円+税)
ISBN :978-4-9911614-1-4A4判/並製/64頁

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