「絵画そのもの、素材そのものに向き合っていきたい」島村由希インタビュー

2021-07-07 作家インタビュー

島村由希/ 画家

華やかで躍動感のある作品を描く、抽象画家の島村由希さんに、これまでの経緯や、制作過程、作品に対する想いについて詳しくお話を伺いました。


島村由希

島村 由希

2018 島村由希絵画教室 開業
2013 文星芸術大学 油画専攻 卒業
二村潤絵画教室 勤務(2018年退職)
トワームみずほ台(現ウェルガーデンみずほ台) 絵手紙教室講師
個別指導のトータス お絵描き教室U主任(2015年退任)

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Q. 作家、画家を志したきっかけを教えてください

小さい頃から絵を描くことが好きで、その気持ちのまま絵画教室や美術大学に通いました。勉強をしていくうちに、できる事や描けるものが増えるとますます楽しくなり、これからも描く事はずっと続けていくのだろうなと思っていました。



作品画像
「滲む星」

在学中初めての個展で、作品を人に見てもらえる・欲しいと思ってもらえるという経験をして、それまではただ楽しくて自分のためだけに描いていた絵が、こんな風に人の役に立つ事があるんだと衝撃を受けました。その時の大きな嬉しさが「仕事にしたい」と思うきっかけになりました。


Q. 現在の作風までの歴史、経緯などありましたら教えてください。

中学生の時から通っていた絵画教室の二村潤先生という方が、油彩で抽象画を描かれている方でした。その作品がとってもとってもかっこよくて、「油彩で抽象画を描く事」への憧れを持ったんです。

絵を学ぶと、実技の授業はデッサンや静物画、人物画といったものが中心だったので、全く抽象画を描かない期間も長くありました。だけどその間も「でも私はゆくゆくは抽象を描くだろうな」という気持ちはずっと持ち続けていました。


制作過程

「 絵画として魅力的なものになるように 」


Q.島村さんは抽象画を描かれていますが、モチーフなどはありますか?また、作品タイトルで毎回苦戦されてるとSNSで拝見したのですが、具体的にはどのあたりで意識されるのでしょうか?

オーダー作品以外の、自主的に制作する物に関してはモチーフやテーマは決めずに描いています。描く過程の中で生まれるおもしろい色や形を掬い取ることに意識を向けたいからです。 何を表現するかよりも、絵画として魅力的なものになるように、という気持ちが大きいです。それに、「何かを表現するぞ」と思わなくても、できたものを見ると私の中にある何かが出てきてしまうものだなとも思います。



「出すぞ」とも「隠すぞ」とも思わず、素直に絵画そのもの、素材そのものに向き合っていきたいですね。ただ、そんな思いでテーマが無いからこそタイトルに苦戦しているのかもしれません。

絵が完成した後は、私は制作者ではなく鑑賞者という気持ちで、そこでようやく「この絵はどんな絵に見えるだろう~」と考え、浮かんだ言葉からタイトルを考えています。なかなか言葉が浮かばず苦戦することが多いので、本をもっとたくさん読まないといけないなと思います。


作品画像
「芯をつなぐ」

Q. 島村さんの描く作品は、様々な色が使われていて華やかで心地の良い温かさを感じました。作品の制作にあたり意識していること、また大切にしていること、伝えたいことなどはありますでしょうか?

ありがとうございます!心地の良い温かさ、とっても嬉しいです!
描きはじめの工程は、絵具遊びをするように筆の赴くまま自由に色や形を置いていくのですが、その中でふとした瞬間に「これは!」と思うものが飛び出してくるんですね。それを「見逃さないように」という意識をとても強く持っています。
ただ、一部の良い部分があったとしても一枚の絵としては全然成立しないので、その偶然できた魅力的な部分を使っていかに絵画として成立させるのか、そこが私の画家としての仕事かなと思います。


作品制作過程

Q. 作品のインスピレーションはいつ、どのようなときに浮かびますか?

これはもう間違いなく描いている時です!
描いているうちに「こうしてみたい」「ああしてみたい」とわくわくしてくるんです!
なので、やる気があろうが無かろうがとにかく筆を持つ、ということが私にとってはとにかく大事だと感じています。



Q. 作品制作をする上で、ルーティンや制作ペースなどについてはいかがでしょうか?また普段どのような場所で制作活動をされていますか?


「 日が暮れたら描かない 」


最近は毎日何かしら描いていて、とても良いリズムになってきました!自宅がアトリエでもあり絵画教室でもあるので、レッスンの合間に自分の制作をしたり、生徒さんによっては隣で一緒に制作することもあります。とにかく描くことは楽しいので、描けるときにはモリモリ描いています。

ただ、最近は「日が暮れたら描かない」というマイルールを作りました。夜は集中しすぎてしまってつい夜更かしになってしまい、健康に良くないと感じまして…。ですが昼間に自然光で制作するのがたまらなく気持ちよくて、ネガティブな理由で始めたことがポジティブな理由で続けられていて、とっても良い感じです!


作品画像
「花が咲くまで」

Q. 制作中のリフレッシュ方法などがありましたらお聞かせください。

コーヒーを淹れて飲んだり、映画を観たり、掃除をしたり、ドラムを叩いたり…いろいろすることもあるのですが、振り返ってみると他の絵を描くことが一番のリフレッシュになっているかもしれません…!


作品を飾っている様子

Q. ご自身の作家活動において影響を受けた人物や事柄などはありますか?

先ほど経緯でお話しした絵画教室の二村潤先生の影響がとくに大きいと思います。先生のお人柄や考え方もそうですが、何より先生の作品に受けた影響が大きいですね。あとは、今こうしてかなり自由に作家活動ができているのは夫の協力があっての事なので、彼との結婚は私の作家活動にとって大きな事柄だったなと思います。


作品画像
「無形の蓄え」

Q. 今後、作家として挑戦したいことはありますか?

ご縁があればやってみたいと思うのが、他業種の方とのコラボレーションです。
最近受注制作のお仕事をたくさんいただけるようになって、テーマのある制作も勉強になる事が多くて楽しいなと感じています。
音楽・言葉・味・香り…見えないものを抽象画で表現する、そんなお仕事の機会が今後増えたら嬉しいなと思います。


作品画像
「冬の景色に響く音」

Q.SNSでの活動について、気を付けている事、実践している事、反響などはいかがでしょうか?

SNSでは、なるべく積極的に作品や制作過程を発信しようと心がけています。
慣れないうちは「あまり多く投稿するのはうるさいかな…」とか「画像で見て満足してしまい実物をご覧いただけなくなるかも…」という不安もありましたが、逆の立場で考えた時に、私は好きな作家さんにはガンガン発信してもらいたいし、画像で素敵だなと思う作品があったら実物も見てみたいと思うんです。

SNSの中でもとくにツイッターが私には合っているみたいで、積極的に更新しています。ギャラリーに行ったことが無いけど絵画に興味があるという方が多くいらっしゃるということもわかりました。投稿した画像がきっかけで原画に興味を持っていただける事も多く、応援してくださる方々との温かいご縁も本当に有難いと感じています。私にとってSNSは本当に大切なツールです。


今後の展示情報


作品を飾っている様子
展示風景

島村由希 展
10月1日(金)〜9日(土)<3日休>

乙画廊
〒530-0047
大阪市北区西天満2-8-1大江ビルヂング101
℡06-6311-3322

今年の10月、大阪の【乙画廊】で個展を開催していただけることになりました!
およそ20点の作品を展示予定です。原画をご覧いただける機会はどうしても限られてしまいますので、ぜひこの機会に御覧いただけましたら幸いです!

その他、公募展等にも出品して参りますので、詳しくはツイッターをご覧ください。
スケジュールの合う方はぜひお越しいただきたいと思います。

INTERVIEW

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