【美術史】アール・ヌーヴォー、アール・デコ、フォーヴィズム、キュビスム、未来派について

2022月03月26日 アートの知識

アール・ヌーヴォー

その語源はArt(芸術)+Nouveau(新しい)の造語で「新しい芸術」を意味しています。

アール・ヌーヴォー(Art Nouveau)とは、19世紀末から20世紀初頭にかけてヨーロッパで流行した美術様式です。フランス語で「新しい芸術」を意味します。アール・ヌーヴォーは、自然界をモチーフとした曲線的なデザインが特徴です。また、装飾性が重視され、家具、建物、工芸品、絵画、彫刻など、幅広い分野に広がりました。

19世紀初頭の産業革命によって人々の暮らしは劇的に変化していきますが、安価で使い勝手が悪い商品も多く市場に出回るようになります。そうした社会的背景の反動でより芸術性の高い作品を求める気運が高まり生まれたのがアールヌーヴォーです。花や植物をモチーフにした曲線的なデザインが特徴であり、アール・ヌーヴォーの代表的な画家にはギュスターヴ・クリムト、アルフォンス・ミュシャ、オーギュスト・ロダンなどが挙げられます。

特にミュシャの作品は同時代の他の画家よりも華麗で美しく、代表作の一つ「ジスモンダ」はフランス演劇界トップの女優サラ・ベルナールを象徴的に描いています。その他にも工芸や建築などの分野で様々な装飾や新素材を用いた様式美が作られていきます。

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アール・デコ

その語源はArt(芸術)+ Déco (装飾)の造語で、アール・デコ(Art Deco)とは、1920年代から1930年代にかけてヨーロッパで流行した美術様式です。

フランス語で「装飾芸術」を意味します。アール・デコは、直線的なデザインと幾何学模様が特徴です。また、モダンで洗練されたデザインが好まれ、家具、建物、工芸品、ファッション、グラフィックデザインなど、幅広い分野に広がりました。

アール・デコの誕生には、第一次世界大戦の影響が大きかったと考えられています。第一次世界大戦によって、人々は古い伝統や価値観に疑問を持ち始めました。その結果、新しい時代の到来を象徴するような、モダンで洗練されたデザインが求められるようになりました。

アール・デコの代表的な建築家には、ル・コルビュジエ、フランク・ロイド・ライト、ミース・ファン・デル・ローエなどが挙げられます。ファッションデザイナーでは、ココ・シャネル、クリスチャン・ディオール、エルザ・スキャパレッリなどが挙げられます。

アール・デコは、1920年代から1930年代のヨーロッパを席巻した美術様式です。その独特のデザインは、現代の建築やデザインにも大きな影響を与えています。

フォーヴィズム

フォーヴィズム(Fauvisme)は、20世紀初頭にフランスで起こった絵画の運動です。

フォーヴィスムとはフランス語で「野獣派」という意味で、この運動の画家たちは、原色を主体とする激しい色彩と大胆な筆づかいで、荒々しくも力強い作品を描きました。

荒々しい色彩による野獣(フォーヴ)を意味するフォーヴィズムは、感覚を何よりも大切にしました。

奥行きではなく、ただそこに色と形が存在します。画面全体にリズムが生まれることで、どこまで絵画が自由になれるのか、本格的な挑戦が始まりました。目に見えない人間の感情を色彩で表わそうとした、芸術史に残る革新的な出来事でもあったのです。

フォーヴィズムの代表的な画家には、アンリ・マティス、アンリ・ドローネ、モーリス・ド・ヴラマンク、アルベール・マルケ、ジョルジュ・ルオー、ケイス・ヴァン・ドンゲンなどが挙げられます。

フォーヴィズムは、当時の西洋美術界に大きな衝撃を与え、その後の抽象絵画や表現主義に大きな影響を与えました。

キュビスム


キュビスム(Cubism)は、20世紀初頭にフランスで起こった絵画の運動です。キュビスムとはフランス語で「立方主義」という意味で、この運動の画家たちは、物体を直線や平面で分解して描くことによって、物体の本質を捉えようとしました。

パブロ・ピカソとジョルジュ・ブラックという偉大な芸術家によって生まれたのがキュビスムです。20世紀の美術史の中でも特に重要視されている芸術運動といえるでしょう。革新的であったのはその視点です。従来の絵画が1方向からの視点を基に描いたのに対して、様々な角度から見た視点を1つの作品へとまとめたのです。

また対象物を分解して再構築することで独自の造形美を誕生させます。そしてキュビスム後期になるとマルセル・デュシャンが「階段を降りる裸体No.2」を発表します。これは時間を分解して平面的に表現しようと試みた作品で、これは絵画の2次元性の中に3次元の立体と4次元の時間という要素を加えたことが、従来のキュビスムとは大きく異なる部分です。

キュビスム以降の芸術は全てキュビスムの影響を受けているといっても過言ではなく、新たな芸術が始まった時代ともいえます。

キュビスムの代表的な画家には、パブロ・ピカソ、ジョルジュ・ブラック、アレクサンドル・カルリン、フェルナン・レジェ、ロベール・ドローネ、フアン・グリスなどが挙げられます。

未来派

未来派は20世紀初頭のイタリアで花開いた芸術運動で、一言で言えばアヴァンギャルドです。イタリア語で「未来」という意味で、この運動の画家たちは、近代化の進展によって生まれたスピード感や力強さを表現しようとしました。

詩人のマリネッティがイタリア全国紙の「フィガロ」の一面に「未来派宣言」を掲載したことが全ての始まりです。これが凝り固まった美術アカデミーへの強烈なカウンターパンチとなります。なぜなら当時の芸術の中心地はパリであり、半歩遅れていたと自覚的であったイタリア国内がこの宣言によって触発され、大きな熱狂へと包まれていくからです。

未来派の中心人物であったウンベルト・ボッチョーニのブロンズ彫刻の代表作「空間における連続性の唯一の形態」は、様々な動きの形態を連続的に1つの作品の中で表現しています。こうして「速度」が生み出された美が誕生していきました。

未来派の絵画は、次の3つの特徴があります。

  • 動きを捉えるために、複数の視点から見た物体を重ね合わせて描く。
  • 直線や曲線を多用して、スピード感や力強さを表現する。
  • 伝統的な絵画の技法にとらわれず、新しい表現方法を模索する。

未来派の代表的な画家には、ウンベルト・ボッチョーニ、ジャコモ・バルラ、ルイジ・ルッソロ、カルロ・カラーラ、ジャン・パスカル・ドーミニク・アッピア、アントニオ・セガンティーニなどが挙げられます。

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