コラージュ、フロッタージュ、デカルコマニー、スクラッチ【美術技法】

アートを学ぶ

2024月05月16日

美術技法は絵画やアート作品に独特の表現をもたらし、異なる模様やテクスチャーで表現の幅を広げてくれます。この記事では美術技法の特徴、身近にあるもので簡単にできるやり方をご紹介します。経験やスキルの有無に関係なく、アートを楽しむ方法として参考になれば嬉しいです。

コラージュ

コラージュ

コラージュはフランス語で「糊付け」を意味する言葉で、アートの分野でコラージュ技法が生まれたのはキュビスムが生まれた20世紀初頭のことです。当時の芸術の中心地パリには世界中から様々な芸術家が集まっていました。ムーランルージュを中心に劇場も花開き、様々な分野がジャンルを超えて混じり合うようになったのは自然の流れでしょう。

絵画の分野における最初のコラージュ作品は、ピカソとブラックが共同生活をしてキュビスムを模索していた時期により作られた「パピエ・コレ」であると言われています。新聞紙などの紙片をつなぎ合わせたり、広告の包装紙やフィルム、ピンやボタンで留めたりする作品もありました。またコラージュも立体作品になると「アッサンブラージュ」と呼ばれています。

今日、コラージュは実に多様なジャンルで使われており、平面から立体作品、ファッションの分野でも親しまれています。日本のちぎり絵や貼り絵などもコラージュの一種です。中にはロマンコラージュといったコラージュ小説も誕生しています。コラージュは実に多様で統一性があるものもあれば、意図的に醜悪さを作る為に枠からはみ出した作品もあります。たった100年前に生まれた技法でありますが、コラージュは私たちの生活に当たり前のように存在しているのです。

フロッタージュ

フロッタージュ

フランス語でこするを意味する「frotter」に由来があり、フランスがシュルレアリスム全盛の時代に誕生しました。平坦な表面に塗料やインクを塗った後、その上に別の平坦な表面を押し当てることで、特殊な模様や効果を生み出す技法です。木や炭、コインなど押し当てられる平坦な表面の素材や形状、塗料やインクの種類、押し当てる際の圧力や角度など、様々な要因が組み合わさって、独特の効果が生まれます。

始まりは1925年ドイツ人のマックス・エルンストが最初に始めたとされており、翌年には「博物誌」というフロッタージュ作品のみの作品集も刊行されています。絵を描くことに苦手意識があっても純粋に色彩を楽しむことができる手法として、教育の分野でも応用されています。

スクラッチ

スクラッチ

スクラッチは「引っかき絵」と呼ばれる手法です。この技法はシュルレアリスムを代表する芸術家マックス・エルンストによって広く知られるようになりました。具体的な手法としては、白い紙を1枚用意して、そこにクレヨンで様々な色を塗り、さらにその上に被せるように黒や濃い色をキャンパス全体に塗りつぶします。そして、先の尖ったもので表面をスクラッチしていくことで、下の色を露出させたり、新しい模様を作り出したりすることができます。濃い色と下地のコントラストによって、偶然性に任せた意外な表情を生み出すことがあります。

デカルコマニー

デカルコマニー

デカルコマニーは20世紀初頭のシュルレアリスム全盛のフランスで生まれた技法です。フランス語で「転写」を意味する言葉で、例えば紙の上に絵の具を垂らし、その上から紙を重ねて離すと、思いもよらない模様が立ち現れます。予想できない模様が生まれる面白さはシンプルでありながらひとつとして同じにはなりません。こうした偶然性に任せる手法は子どもの想像力を働かせることへと繋がると言われ、幼児教育などの分野でも採用されています。指先が上手に動かせなくても純粋に絵を楽しむという行為をデカルコマニーを通じて実現することができます。

アートは誰でも楽しめる

今回紹介したこれらの技法は、経験を問わず、誰もが自分らしさを表現することができます。やってみたいけれど何を用意すればよいかわからない、本格的に学びたいかたは、アート専門の教室やワークショップを探してみてはいかがでしょうか?イニシャルギャラリーではアート専門のおすすめワークショップ情報を掲載しています。ぜひ体験したいアートを探してみてください。

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