絵画の保管方法まとめ|湿度・紫外線・収納の正しい対策とは?

アートと暮らす

2024年06月25日

絵画は飾って楽しむだけでなく、保管の仕方によって作品の寿命が大きく変わります。「とりあえず押し入れにしまった」「額に入れておけば安心」そんな保管方法が知らず知らずのうちに絵を傷めてしまうことも。この記事では絵画を長く美しく保つための基本から、画材別の注意点、便利なアイテムまでをわかりやすく解説します。

絵画保管の基本3ステップ

1. 汚れを落とす

保管前には絵画の表面に付着したほこりや汚れを取り除きましょう。柔らかい筆や布で優しく払い、素手で直接触れないように注意してください。皮脂や湿気が絵に悪影響を与えることがあります。

便利なアイテム

画材用ダストブラシ:柔らかく、絵肌を傷めずにほこりを払える。

マイクロファイバークロス:額縁やガラス面の掃除に最適。

手袋(綿製):素手で触れずに作品を扱える。

2. 包んで収納する

絵画は通気性のある布(黄袋、不織布など)で包み、紙製の保存箱に入れて保管します。ビニール袋は湿気がこもりやすいため避けましょう。額装された作品も、角や表面が傷つかないように保護材を使うと安心です。

便利なアイテム

黄袋/不織布:通気性があり、絵画を優しく包める。

あい紙:作品と作品の間に挟むことで擦れを防止。

差し箱/紙製収納箱:湿気を逃がしつつ、衝撃から守る。

3. 保管環境を整える

絵画にとって理想的な環境は、温度20℃前後、湿度50〜60%、直射日光なし、風通しの良い場所です。押し入れやクローゼットにしまう場合でも、除湿剤や湿度計を活用してカビや変色を防ぐ工夫が必要です。

便利なアイテム

湿度計/温度計:保管環境の管理に必須です。

除湿剤調湿剤:湿度を安定させ、カビを防ぎます。

UVカットカーテン/フィルム:紫外線による退色を防止します。

サーキュレーター:空気の流れを作り、湿気をこもらせません。

画材別の注意点

絵画の素材によって保管時に気をつけるべきポイントは大きく異なります。素材に応じた保管方法を選ぶことで、絵画の劣化を防ぎ、長く美しい状態を保つことができます。

水彩画・イラスト

特徴:水性絵具やインクを使用しており、紙が支持体となっている。

注意点:紫外線による退色が起こりやすく、湿気にも弱い。

保管方法:UVカットの額装やスプレーで保護し、直射日光を避けた場所に保管。湿度管理も重要。

油絵

特徴:キャンバスに油性絵具を使用する。厚みや凹凸がある作品が多い。

注意点:乾燥しすぎると絵具がひび割れる。湿度の変化にも敏感。

保管方法:温湿度が安定した環境に保管する。通気性のある布で包み、縦置きが基本。

日本画

特徴:和紙や絹に膠(にかわ)や岩絵具を使用した繊細な構造。

注意点:直射日光や湿気に非常に弱く、カビや変色のリスクが高い。

保管方法:暗所での保管が基本です。定期的に点検し、湿度が高い季節は除湿剤などで対策を講じます。

よくある疑問と対策

Q1. 絵画はどう置いて保管すればいい?

A:基本的には縦置きが推奨されます。 横に重ねると重みで絵肌が変形したり擦れによるダメージが生じる可能性があります。特に油絵や厚みのある作品は注意が必要です。

Q2. 額縁のメンテナンスは必要?

A:定期的なメンテナンスが重要です。

木製額縁の場合は、湿気によって反りやカビが発生する可能性があるため、注意が必要です。定期的に乾いた布で拭き取り、室内の湿度を適切に管理することで劣化を防ぐことができます。

金属製の額縁は、サビの原因になる手垢や水分を避け、乾いた布で拭くのが基本です。

Q3. 収納スペースが足りないときは?

A:温湿度管理が可能なトランクルームや美術品専用の保管サービスの利用も検討しましょう。 これらのサービスでは作品のサイズや素材に応じた適切な環境で保管できるため安心です。

大切な絵と長く付き合うために

絵画の保管には画材ごとの特性を理解したうえでの配慮が欠かせません。紫外線や湿気、乾燥といった環境要因は作品の美しさや保存状態に大きく影響します。縦置きや額縁のメンテナンスなど、日々のちょっとした工夫が絵画を長く守ることにつながります。

限られたスペースでも適切な保管方法を選ぶことで大切な作品を安心して残すことができます。素材に寄り添った保存環境を整えながら、絵との時間をより豊かなものにしていきましょう。

現代アートが買えるオンラインショップはこちら
あなたにぴったりなアートは?
アートタイプ診断
3つの質問に答えてね!
カテゴリ:
アートと暮らす
この記事のキーワード