アート塗り絵コレクション掲載作家 池田愛美インタビュー
2021-05-06 作家インタビュー「アート塗り絵コレクション 〜人物モチーフ編〜」に作品掲載の池田愛美さんに塗り絵作品に込めた想い、制作過程について詳しくお話を伺いました。
池田愛美さんには、アート塗り絵コレクション掲載作家の中で最多12点の作品をご応募いただきました。どの作品もタイトルに沿ったモチーフがたくさん描き込まれ、それらの集合体が一つの造形になっており、見応えがあって、モチーフ探しを楽しませていただきました。ご応募いただきありがとうございました!!
Q. 作品テーマを象徴するモチーフが組み合わされて一つの作品となっておりますが、描かれているモチーフはどのように発案されているのですか?また、モチーフは何かを参考にして描かれているのでしょうか?
まずは大まかなシルエットを作り、そこからはその都度思いついたモチーフを描いてシルエットを埋めていきます。モチーフは図鑑や資料本などから探す事もありますが、モチーフとモチーフが上手く組み合わさるように自力で考える事が多いですね。
− モチーフとモチーフが組み合わさるようにシルエットに収まるよう描くのは至難の技ですね。思いつきで描かれているとは驚きです!
どこに何を配置するかが1番難しいです。そして出来るだけ作品のクオリティを落としたくないので、葉っぱ1枚描くのにも資料を見ます。その辺に生えている雑草も実はよく見ると形が非常にユニークだったりして、絵を描く上では貴重な資料になるんです。ですので日頃からiPhoneで写真を撮ってリファレンス収集していますね。
− 想像ではなく、資料やリファレンスを元に忠実に描いているからこそ、一つのシルエットとなった時に個々のモチーフが一層作品を際立たせているように思います。日頃から写真を撮りためておくのも大事になりますね。
Q. 「魔女」作品のテーマについて教えてください。
難しいですね(笑)実は深い意味は無いんです。私のようなその都度思いついたモチーフで埋めていく手法だと、先にテーマを決めてしまうと自由度が下がって描けるものが限定されてしまうので。ただ私の作品全てに共通しているのは、女性が入っているという事です。描きやすいんですよね。
ですので、最初から今回はぼんやりと女性メインで行こうと思っていました。
その後はフィーリングで描き進めていって、何となく鍋を描いたところで「なんか魔女っぽいな」と思いまして。タイトルの魔女は後付けですね。もちろん、最初からきちんとテーマを決めて描く事もありますよ。
− 鍋を描いた頃に、魔女でいこう!となったのですね。線画制作はじめのスケッチを拝見させていただきましたが、この時点で魔女を感じました(笑)自由度を下げないでフィーリングで描き進めるスタイルは、どんな作品になっていくのだろう、、、と途中経過から完成まで目が離せません。
Q. 着彩見本はPhotoshopでのデジタル着彩とのことですが、手描きで着彩されたかのような温かみのある風合いがとても印象的で、どのように塗り進められたのか気になりました。よろしければ着彩見本の制作過程を少し教えていただけますか。
実際の水彩のテクスチャを使用したり、Photoshopのブラシをカスタマイズして描画しています。
まずはモチーフのベースカラーを決め、その上で色味調整したテクスチャの一部分をコピースタンプツールなどで切り貼りすることで水彩の特徴であるにじみや濃淡を意図的に作っています。また複数のテクスチャをレイヤー効果で重ねていくと“ちょうどいい感じの色と質感”が出る事もあるので、そういった偶然性の効果も利用しています。気になるところはブラシで調整していく感じですね。最終的には調整レイヤーを使って微調整をして、自分がしっくりくる色味に落とし込んでいます。
着彩手法の詳細はスライドをご参照ください。
Q. 着彩見本の制作に要した時間を教えてください。
恥ずかしながらこのような自分の線画を着彩した事が今までになく、手探りで塗った為12時間くらいかかっていると思います。結構長いですね。
− 12時間が長いとは到底思えないです。デジタルでの着彩は、塗り重ねていく際に乾くのを待つ時間は短縮できますし、配色や塗り方など工夫すれば全く別の作品に仕上げることができることは魅力ですね。
Q. 現在興味のあること、今後、作家活動で挑戦したいことはありますか?
アナログ、デジタルのイラストにとどまらず3DCG方面のスキルももっと身に付けていきたいですね。
CGの世界は加速度的に進歩しているので学ぶのが大変ですが、これが作品制作に応用できたらクリエイターとして表現の幅が広がっていいと思うんです。以前ゲーム会社でCGデザイナーをしていた事もあり、やはり1番興味がある分野ですね。
Q. 「アート塗り絵コレクション」出版プロジェクトは、イニシャルギャラリーの作家支援プロジェクトの一つになりますが、このような取り組みについてどう思われますか?微力ではございますが、創作活動の後押しとなりますでしょうか。
素晴らしいと思います。こうして支援してもらえる機会ははなかなか無いですよね。創作活動を続けていく上で左も右もわからない中、こうしてフォローしてもらえる事は非常にありがたい事だと思います。私は今回のプロジェクトでクリエイターとして一歩踏み出せた事で、今後も頑張ろうという気持ちになれました。
− 嬉しいお言葉ありがとうございます。池田愛美さんがクリエイターとして一歩踏み出せたことは、私どもにとっても大きな励みとなります。イニシャルギャラリーでは、今後もたくさんの方に知っていただくための企画や場所づくりを行ってまいります。
池田愛美
愛知県生まれ
ゲーム会社、IT企業を経て現在フリーのデザイナー。細密画を中心に、デジタルアナログ問わず幅広く活動中。
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書籍情報
飾れるアート塗り絵『 アート塗り絵コレクション 』〜人物モチーフ編〜
定価1,650円(本体1,500円+税)A4判/並製/62頁
ISBN 978-4-9911614-0-7
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