【美術史】メソポタミア美術、原始美術、エジプト美術、ギリシャ美術、ローマ美術について解説

アートを学ぶ

2024月05月24日

メソポタミア美術

【美術史】メソポタミア美術、原始美術、エジプト美術、ギリシャ美術、ローマ美術について解説
ペルセポリスのアパダナ宮殿

メソポタミア美術は、現在のイラクやシリア、トルコ、イランにあたる地域で繁栄した古代の芸術形式です。「メソポタミア」という名前自体が、チグリス川とユーフラテス川の間に位置する地域を指す言葉です。

メソポタミア美術の特徴

  • 宗教的な意味合いが強い。
  • 石材や粘土などの自然素材を多用する。
  • 写実的な表現を好む。
  • 装飾的な要素が多い。

メソポタミア美術の代表的な作品

  • ウル王墓の黄金の獅子像
  • ラムセス2世とミタンニ王の戦いの浮彫
  • ペルセポリスのアパダナ宮殿

メソポタミアの君主たちは、戦争での勝利を記念して記念碑を建立する習慣があり、職人たちはそれをレリーフに表現しました。しかし、メソポタミア美術の初期作品が現存しない主な理由は、エジプトのように人間の魂を永遠に保つための肖像制作の信仰がなかったためとされています。

原始美術

【美術史】メソポタミア美術、原始美術、エジプト美術、ギリシャ美術、ローマ美術について解説
クエバ・デ・ラス・マノス

原始美術は、文字が発明される前の時代に制作された芸術作品を指し、その時代は地域によって異なりますが、一般的には紀元前10000年から紀元前3000年の間とされています。

原始美術の特徴

  • 自然崇拝的な要素が強い。
  • 記号的な表現を好む。
  • 装飾的な要素が多い。

原始美術の代表的な作品

  • ラスコー洞窟壁画
  • アルタミラ洞窟壁画
  • ヴィーナス・ドンバソワ
  • ヴィーナス・ウィルヘルミナ

美術の起源を特定することは困難ですが、少なくとも高度な文明が出現するはるか昔、紀元前10000年以上前に制作された絵画や彫刻は、呪術的な目的で使用されていました。これらの作品は、単に「美しい」というよりは、「力」を持つものとして重宝されていたのです。魔術的な意図で岩に描かれたこれらの作品は、狩猟の成功をもたらすと信じられていました。これらの作品は人間の精神性や根源的な部分に関する深い問いを投げかけ、鑑賞者の心を強く揺さぶります。

エジプト美術

【美術史】メソポタミア美術、原始美術、エジプト美術、ギリシャ美術、ローマ美術について解説
スフィンクス

古代エジプト美術は、紀元前3000年から紀元前30年にかけて栄えた、長い歴史を持つ芸術の一形態です。

エジプト美術の特徴

  • 宗教的な意味合いが強い。
  • 永遠性を表すため、写実的な表現を好む。
  • 装飾的な要素が多い。

エジプト美術の代表的な作品

  • ギザのピラミッド
  • スフィンクス
  • ツタンカーメン王の黄金のマスク
  • ラムセス2世の葬祭殿

エジプト美術では対象物を最も識別しやすい角度から描くことで明瞭さを追求していました。例えば、紀元前1400年頃の「ネバムンの庭」の壁画では、池は上から、池の中の生物は横から、庭周りの木々は池を中心にして横からの視点で描かれています。このような表現方法により、作品には調和と安定感がもたらされていました。約3000年にわたって様式がほとんど変わらなかったのは、エジプト王国が永遠に続くという信念が反映されていたためかもしれません。

ギリシャ美術

【美術史】メソポタミア美術、原始美術、エジプト美術、ギリシャ美術、ローマ美術について解説
エレクテイオン

紀元前700年頃に始まったギリシャ美術は、古代アテネの芸術家たちがエジプトの彫刻から影響を受けつつ、独自の創造性を追求したことで、美術史において革新的な時代を築きました。

ギリシャ美術の特徴

  • 人体の美しさと完璧さを追求した理想化された人体表現
  • 神話や英雄譚をイメージした作品
  • 対称性とバランスを重要視した調和のとれたデザイン

ギリシャ美術の代表的な作品

  • ラオコーン像
  • ミロのヴィーナス
  • パルテノン神殿

当時のギリシャは彫刻家よりも画家がより名声を博していましたが、残念ながら作品はほとんど残っていません。しかし、壺絵には日常生活や神話、祭りの場面が描かれており、これらは古代ギリシャの文化や価値観を今に伝える貴重な資料となっています。陶芸技術の進歩に伴い、黒絵式や赤絵式の陶器が一般的なスタイルとして発展しました。

ローマ美術

コロッセオ

古代ローマ美術は紀元前8世紀から紀元3世紀にかけて繁栄した古代ローマの芸術です。ギリシャ美術からの影響を受けつつも、ローマ独自の特色を発展させました。

ローマ美術の特徴

  • ギリシャ美術の影響を強く受けながら、実用的な分野にその特徴を発揮した。
  • 肖像彫刻、公共建築、絵画、モザイク画などが盛んに制作された。
  • 写実的な表現を好み、装飾的な要素も多い。

ローマ美術の代表的な作品

  • コロッセオ
  • パンテオン
  • トラヤヌスの円柱
  • アポロとダフネ
  • ベレニケの肖像画

ローマ時代には、彫刻家が国の歴史を語り継ぐ役割を担い、帝国の偉大さを示すための作品が求められました。この時代には、ギリシャ美術の装飾性を減らし、よりシンプルで伝播しやすい図像が好まれました。
また、キリスト教美術が登場し、3世紀の作品「燃える炉の中の3人のユダヤ人」のように、美しさだけでなく、神の力や信仰を表現する作品が描かれるようになりました。ローマ美術は、一度は模倣に回帰しつつも再び観念的な表現へと進化を遂げました。

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