【美術史】ジャポニズム、印象派、ポスト印象派、象徴主義、ナビ派について

2022月03月22日 アートの知識

ジャポニズム

 1855年にパリで行われた万国博覧会により日本の浮世絵などが紹介され、これが西洋の芸術家を大いに触発するきっかけとなります。やがて日本趣味が西洋で大ブームとなり、この一連の現象をジャポニズムと呼んでいます。

特に葛飾北斎や喜多川歌麿の浮世絵は人気を博します。なぜなら西洋画にはない線と余白で構成され、どこまでも平面な世界を見事に構築しているからです。この当時、西洋は印象派が全盛の時代に突入しており、ゴッホや多くの画家に多大な影響を与えています。

実際、浮世絵が登場する西洋画も多く見られ、立体感を放棄した西洋画が増えたのもジャポニズムの大きな功績です。こうして西洋と東洋の文化が徐々に混じり合っていく時代に突入し、それがアールヌーボーへと繋がっていくのです。

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印象派

日本でも大人気の印象派は、19世紀後半のフランスで生まれました。

その最大の特徴は大胆な筆使いによって描かれていることです。例えば自然光の表現は色彩を用いて、それをキャンバスに捉えようと試みています。その表現を実現するために、色彩も混ぜることが少なく純色が好まれ、そこに荒々しくも感じさせる大きなリズムが加わりました。

当時は多くの論争を生み、印象派の作品は「未完成」「スケッチ風」と揶揄されることも少なくありませんでした。言い換えれば、それぐらい革新的であったとも言えるはずです。実際、作品は数メートル離れたところで突然、焦点が合ったように見えますが、それこそが印象派の意図するところでもあるのです。こうして絵の主題が限定的であったものを解放し、世界中の全てを絵にする「自由」を獲得しました。それと同時に、正確でバランスが安定したデッサンから解き放たれ、ここに画家が感受性を最大限に発揮する時代が始まったといえます。

当時からルノワールやモネの評価は高く、彼らの活躍によって印象派は西洋美術を牽引していく存在となります。印象派が名声を高めるにつれて同時代の美術評論家の権威は失墜し、2度と回復することはありませんでした。印象派の闘いは、その後の美術における論争が生じた場合、引き合いにされるようになります。いつの時代においても、新しく若い芸術家に勇気を与えているのです。

ポスト印象派

ポスト印象派とは印象派後期の画家達のことを指した言葉です。印象派を踏襲しながらも、さらに前進させようと試みています。その代表格がスーラとゴッホです。

スーラは色彩がどのように見えるのか科学的なアプローチを試み、数式を解くように一つの解答を導き出します。それが色をモザイク状に置いた点描法でした。しかしこの極端な手法は輪郭がないため、形を単純化して訴えてくる図案を追求していきます。これに対してゴッホは印象派やスーラの考え方を踏襲しながら、色を混ぜることなく重ね、独立した点と線を好みました。

自身の心の高揚をキャンパスに残すことを目指したのです。例えば、絵によって心の動きを表そうとするために形を歪める必要があったなら、喜んでそうしたのもこの時代からなのです。

象徴主義

象徴主義も印象派と同じくアカデミックに固まりすぎた美術に反発する形で誕生します。印象派との異なる部分は、より人間の内面世界や神秘性を象徴して表現しようと試みている点です。

その先駆的画家がギュスターヴ・モローです。聖書や神話を主題に置いた作品も多く、なかでも代表作となった「オイディプスとスフィンクス」はギリシャ神話を題材に描かれています。モローはこの作品と同時代に盛んであった自然主義を意図的に取り入れず、象徴主義が生まれるずっと前の1808年に画家アングルが描いた同モチーフを模写もしています。

周到に研究した上で描かれたモローの作品はたちまち名声を高め、それと同時に象徴主義の評価も確立されていきます。それが後の世紀末美術などに大きな影響を与えていくことになるのです。

ナビ派

ナビ派の始まりはポスト印象派以降の新たな表現を模索した、芸術家集団のことを指しています。きっかけは若き芸術家であったポール・セリュジエがブルターニュ地方ポン・タヴェンを訪れ、ゴーギャンに教えを請うたことからです。

ゴーギャンは印象派の作品に思想的な深みを感じておらず、新たな表現を模索していました。そしてセリュジエに目に見える色彩ではなく、心象に従って色彩を描くことをアドバイスをしています。美術アカデミーとは全く異なる表現に触発されたセリュジエはパリに戻ると、同じ学校の友人であるボナールやドニらにゴーギャンの教えを伝えます。

それはまるで「神の啓示」のように触発されるものであり、ここにヘブライ語で預言者を意味する「ナビ」を選んだ新たなグループが誕生したのです。

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