【前編】箱根の美術館めぐり、日帰り一人旅

アートを旅する

2024月12月24日

箱根というと大涌谷や芦ノ湖といった自然と温泉が有名ですが、有名な美術館も多くあります。季節は年末も近づく11月。雪が降る前に箱根の美術館を満喫したいという思いが強くなり、日帰りの箱根美術館巡りをしてみました。

移動手段は徒歩、電車、バスのみ。車なしはきついか、一人でも大丈夫か、そんな不安を抱えた方の参考になれば幸いです。なお、寄り道や休憩少な目の弾丸スケジュールとなっているのでご了承ください。

今回のコース
・横浜駅から小田原駅に向かい、箱根行きのバスに乗車
・箱根ラリック美術館
・箱根ガラスの森美術館


箱根ラリック美術館

小田原駅からバスで移動

朝7時、横浜駅から小田原駅に向かう電車に乗り、そこから箱根行きのバスに乗車。平日でしたが流石は観光地ということもあり、キャリーケースを持ったお客さんが多くいました。箱根の山道をぐんぐん進み、窓の風景を眺めながら約1時間、桃源台線仙石案内所前で下車し、最初の目的地である箱根ラリック美術館に到着です。

箱根ラリック美術館
バス停から降りてすぐ近くにあります。

オリエント急行に乗りたい

オリエント急行といえばアガサ・クリスティの小説『オリエント急行の殺人』の舞台で知られる、ヨーロッパを横断する豪華列車です。そのオリエント急行がこちらのラリック美術館にあり、車両でティータイムを楽しむことができるのです。映画を見て憧れを抱いていたので、これは乗車せねばと今回の旅の目的の一つにさせていただきました。

始発便、車庫入れという表現がステキ

受け付けは9時からで先着順となっています。その日のデザートと紅茶がセットになって一人2,750円、40分間車内に滞在することができます。何もない平日の9時ちょっと過ぎについて整理番号4でした。始発の10時に予約ができたので、美術館に向かいます。

美の世界に足を踏み入れる

厳かな雰囲気の入り口

中に入ると受付にトイレ、ロッカールームがあるので、中で荷物を預けることもできます。チケット購入の際、受付の方から「お得な美術館2館セットもあります」と提案をいただきました。そのチケットが、ラリック美術館+ガラスの森美術館がセットになって2,700円。通常より600円も割引になります。迷わずそのチケットを購入しました。

箱根ラリック美術館は2005年に開館したミュージアムで、フランスの宝飾・ガラス工芸の巨匠、ルネ・ラリックの作品が展示されています。香水瓶や花瓶、ジュエリーなど、アール・ヌーヴォー、アール・デコ時代の華やかな芸術様式が反映されています。

すごく小さな作品でも、線や表情がわかるほど繊細な造りこみは本当に感動ものでした。作品の詳細や時代背景を紹介する説明パネルも面白く、作品だけでなくルネ・ラリックの人柄も知ることができ、とても見ごたえのある展示でした。

展示の撮影はNGですが、当日に限り再入場ができます。訪れた際はぜひその作品を目に焼き付けてきてください。

待ちかねた乗車時間

待ちに待ったオリエント急行の乗車時間が近づきました。スタッフの方の案内に従い、乗車前に紹介動画を鑑賞します。オリエント急行=Orient Expressは2001年までフランス・パリで現役走行していたコート・ダジュール特急の車両です。箱根に運ばれたのは2004年、ラリック美術館が開園前に届いたというところが驚きでした。

オリエント急行にいよいよ乗車

中に入ると、クラシックで美しい車内に乗客全員のテンションが上がります。社内は当時のものを維持していて、ボタンや窓ガラスなども貴重な資料として大切に保管されています。座椅子がフカフカするのは通気性を良くするために藁を使っていることや、テーブルは掃除しやすいようにたたみ上げることができるなど、単に美しいだけではなく実用性があることもうかがえます。

気分はパリ

ラリックが製作した室内装飾を体感しながらのティータイム。スイーツは定期的に変わり、選べるドリンクはすべて紅茶のみとなっています。この日はフルーツグラタンで、一口食べた瞬間の感動は今でも忘れません。貴重な車内で贅沢にお茶をする時間は幸せでした。

一車両に156枚飾られている人物像とブドウのパネル
紅茶とデザートで優雅なティータイム

所要時間ですが、オリエント急行自体は40分制となっています。美術館で作品を鑑賞するのに1時間程度かかりましたが、解説をじっくり読むとなるともう少し時間が欲しいところ。併設されているレストランやショップなども訪れるのであれば、2時間前後あるとラリック美術館がもっと満喫できそうだなと感じました。

おなかも心も満たしてくれる素敵な美術館でした!

箱根ラリック美術館
〒250-0631 神奈川県足柄下郡箱根町仙石原186−1
https://www.lalique-museum.com/

ガラスの森美術館

次の目的地はラリック美術館から徒歩15分程度の場所にあるガラスの森美術館です。箱根なので山道がきついかなと思ったのですが、舗装された道をまっすぐ進むだけなのできつくはありませんでした。紅葉が始まる自然の道を歩くのは清々しい気分です。

到着して受付で入場手続きをします。通常だと大人1,800円ですがすでにチケットを購入していたのでスムーズに入館。特別展限定の香り付き入場券をいただきました。バッグに入れたらいい香りがして幸せな気持ちです。

お城にいそうなライオンが出迎えてくれます。
貴婦人の香り付きチケット

館内にはカモが泳いでいる水路や庭園、工房やレストランなど併設されています。訪れた当時はクリスマスの装飾がされていて、まさに写真映えスポットが多く、見る人の目を楽しませてくれていました。

美術館には、世界的に有名なヴェネチアンガラスを中心に、様々なガラス工芸作品が展示されています。特別企画展「香りの装い ~香水瓶をめぐる軌跡~」が2025年1月13日(月)まで開催中で、そちらを鑑賞してきました。音声ガイドがYouTubeで無料で公開されているので、ぜひ作品と一緒に学びを深めてみてはいかがでしょうか。

アクセサリーやグラスなど作れる体験工房もあったのですが、今回は時間がなかったので断念。美術館やお土産屋さんをぐるりとみて、大体の所要時間は1時間ほどでした。駐車場も完備されていて、箱根湯本駅と強羅駅、どちらにも行けるバス停も近くにあるのでアクセスはしやすいかなと思います。

箱根ガラスの森美術館
〒250-0631 神奈川県足柄下郡箱根町仙石原940-48
https://www.hakone-garasunomori.jp/

後編に続く

朝7時の横浜駅に乗り、ラリック美術館とガラスの森美術館を回り終えたのは13時半。箱根旅の前半は、きらびやかなガラスや装飾品などの芸術作品を優雅に楽しむことができました。

後編ではポーラ美術館と彫刻の森美術館についてのレポートとなります。ぜひ皆様の旅の参考になれば幸いです。

※2024年11月時点のレポートとなります。最新情報は各公式ホームページからご確認ください。

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